安定した人事マネジメント施策や制度を構築するには 「主義」時代の終焉

「当社は他社に先駆けて、組織のフラット化を行った。「役割」の概念を導入した。目標管理(MBO)も、コンピテンシーも導入した。組織と人事制度を改定して5年経過したけど、ほとんど回っていない。結局、現場からの突き上げで課長職を復活させることにしたんだけど、改めてプロジェクトに入ってもらえないだろうか」。ここ数年増えてきた弊社へのコンサルティング依頼の典型的な例です。成果主義に基づいた施策や制度を見直す必要性は痛感しているが、どう見直していいのかがわからない。単なる課題つぶしやトレンドを追いかけるのではなく、企業や組織の本質に根ざし、地に足の着いた人事マネジメント施策や制度を構築するにはどうしたらいいのか。経験豊富なコンサルタントが語ります。


なぜうまく回らないかが「わかる」「見える」フレーム。

企業から人事施策・制度の構築、再構築の依頼があった際に、私たちが活用しているのが「人材マネジメントを視覚化するフレーム」です。これはリクルートワークス研究所が「人材マネジメント調査2005」をもとに、人材マネジメントの考え方を2つの軸をベースに4象限に分けて視覚化したものです。さらに「自分たちが今いるポジション」と「今後目指したいポジション」を明確化できるように、診断用のフォームも開発しました。これを受け、リクルートマネジメントソリューションズでは、それぞれの4象限ごとのコアとなる等級制度・評価制度・賃金制度について、特徴、最適な仕組み、変革時のポイントを整理しました。どの分野でも一流のプロフェッショナルと呼ばれる人たちは、まずルールに基づいて基本となる型を固め、それから自分流にアレンジしていくという共通の成長プロセスがありますが、このフレームは企業の人材マネジメントの価値観・ポリシーに合わせた人材マネジメントシステムに関する型とルールといったらわかりやすいかもしれません。

従来の日本企業の多くは「コーポレートミッション・ドライブ」かつ「集権型デザイン」の右下の象限でした。昨今の成果主義の導入あるいは見直しは大きく3つのシフトがありました。その際に制度に込めたメッセージと具現化した制度(等級・評価・賃金)は本来整合性が取れていないといけないのですが、実際には取れていないケースが散見されます。また、このフレームをもとにお客様とお話をしていると、等級・評価・賃金各制度や実際の運用が、象限間で食い違っていることで、現場に不信感や負担感を抱かせているケースが非常に多いことがわかります。

具体的には、等級はジョブグレードを導入しているのに、賃金は経験や習熟の高まりによる積み上げ型賃金(年功序列型)のままであったり、プロセス評価を重要視しているはずなのに、賃金は売上のみを対象としていたりといった食い違いです。フレームを通じて「うちの会社の施策や制度は、なぜうまく回らないのか」と漠然と思っていたことの背景や理由が、くっきりと浮かび上がってきます。理由や原因がわかれば打つ手も見えてきます。このフレームワークは当社のセミナーに参加された方々に実施させていただいていますが、皆さん「目から鱗が落ちる」ようで非常に好評です。
                    【成果主義 3つのシフト】

ラインから見える人材マネジメントの本質。

成果主義の見直し機運の中で、ライン人事をうまく機能させたいという依頼も増えています。かつてのライン人事と、今のライン人事は役割が異なってきています。「本音を言えば、本社(コーポレート人事)から変えたいのだけれど、簡単には変えられない。それならばまず現場から」と、意識の高い事業部門長ですと、それこそ自ら評価やキャリア開発に取り組むケースもあります。こうしたケースでは、私たちはまず現場が「何をやりたいのか」という目的をはっきりとさせ、業務プロセスを具体的に見直すことから入ります。

例えば、今多くの営業部門では、ソリューション営業、提案型営業への移行が課題となっています。しかし肝心の現場の営業職はそれが何かを十分理解しておらず、営業企画といった支援部隊も十分に機能していないところが多い。提案型営業の目指すところはお客様に喜ばれ、支持されること。では、支持されるにはどうしたらいいか。みんなで考える。そうやって生まれた顧客目線の業務フローは、従来型とどう変わるのか。そこで出てきたポイントを評価項目にしていけば誰もが納得し、当事者意識も生まれ、無理なく他部門との連携もできるようになっていきます。施策や制度というものは、本来こうした行動パターンや思考パターンを定着させていくためにあり、一律である必要性はないはずなのです。ここに、コーポレートを含む人事施策や制度のあり方の大きなヒントがあるのでないでしょうか。

1つの主義から、多様な解が求められる時代へ。

最近、お付き合いのあるお客様から、あるいはセミナーなどの際に、「成果主義の次には何がくると思われますか」というご質問をよく受けます。これまで人事マネジメントの世界ではおよそ10年周期で大きく潮流が変わってきましたが、成果主義以降の解はどこもまだ打ち出せていないからです。私たちも残念ながら明確に「これです」とお答えすることはできません。ただ言えるのは、人材マネジメントのあるべき姿を1つの主義で括れるような時代はもう終わったのではないか、ということです。実際、「個と組織を生かしたい」と本気で考えている企業や組織は形からは入らない。高邁な定義やややこしい制度の名前なんてどうだっていいのです。

大切なのは、「自分たちはどうありたいか」という本質をきちんと考え、各部門がその実現のために何をしたらよいかを自分たち自身で考えることなのだと気付き始めています。ありたい姿は企業によって多様です。こうした多様化の時代においては、コンサルティング会社にも多様な答えが求められます。例えば、先ほど紹介したライン人事からの組織変革、あるいは制度を導入した後のモニタリング施策・・・。さまざまな答えを用意しながら、その答えが出るまで併走するようなパートナー。それがきっとポスト成果主義時代に必要とされるコンサルティング会社の形であり、私たちもそうありたいと思っています。
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