ダイバーシティを進化させることで社員と社会の期待により応えられる会社へ

プロジェクト概要

背景・課題

ダイバーシティを進化させていくために、全部長・室長クラスを集めたダイバーシティフォーラムの開催を決定。女性活躍推進・障がい者雇用拡大だけでなく、さまざまな個性を持つ社員一人ひとりが自らの可能性を信じ、持てる能力を存分に発揮できる会社をつくっていくことを、ダイバーシティ推進の新たな目標に据えました。

検討プロセス・実行施策

まず全役員と、今後のデンソーの人や組織のあり方や、デンソーにとってのダイバーシティの必要性を対話。ダイバーシティフォーラムでも、まずこの必要性を部長・室長クラスと共有し、その上で人・組織についての問題意識を共有する場と設定しました。当日は立ち上がって議論するグループが出るほど白熱しました。

成果・今後の取り組み

フォーラム後のアンケートでは、98%が「意義を理解」し、そのうち45%が「腹落ち感が得られた」と回答。今後は、部長・室長クラスだけでなく、全社員に向けても「ダイバーシティは一人ひとりが考えるものだ」という考えを打ち出していく予定です。ダイバーシティの正解は1つではない、だからこそ、考え続けることが大切だと考えています。

背景・課題

部長・室長クラスと共にダイバーシティを進化させていく

弊社では、2006年から人事部内にダイバーシティ担当を置き、女性活躍を主なテーマとしてに育児支援制度などを導入してきました。更に2014年からは、優先度の高い経営課題を推進する「デンソープロジェクト」の1つとして「DP-ダイバーシティ推進室」を立ち上げ、全社的にさまざまな施策を行ってきました。今回、リクルートにご協力いただいたのは、その施策の一環として、2014年から年に1度行ってきたフォーラムの第3回です。

第1回では総合職女性とその上司を、第2回では実務職女性とその上司を集めたイベントを催しましたが、第3回は今までと趣向を変え、部長・室長クラスの幹部社員、約1600名に4回に分かれて集まっていただき、未来のデンソーを一緒に創る仲間として本音で議論し、人や組織について問題意識を共有する場にすると決めました。なぜならば、部長・室長クラスが自分事としてデンソーのダイバーシティの考え方を理解し・腹落ち(共感)しなくては、組織に応じたダイバーシティは進んでいかないからです。

例えば、ロールモデルとなるような優れた女性社員の上司は、決まってダイバーシティに対する理解が深いのです。こうした上司は、育児中の女性社員の業務をただ軽減するのがベストだとは考えません。なぜかといえば、下手に業務を軽減すると、女性は自分の能力伸展に限界を感じ、諦め感を抱いてしまうからです。そのため、ダイバーシティに理解がある上司は、女性社員と話し合いながら、常に少し多いくらいの業務を与え、上手にテンションをかけていくのです。育児や介護をする社員の業務を軽減するのが、必ずしも良い上司というわけではないのです。

マネジャー一人ひとりがそのようにして理解を深め、意識を変えていかない限り、組織のダイバーシティは進んでいきません。そこで、第3回ダイバーシティフォーラムを、部長・室長クラスと共にダイバーシティを進化させていく場にしたいと考えたのです。

女性や障がい者だけでなく一人ひとりの活躍推進を

もう一つ、このタイミングでダイバーシティのメッセージを変えました。2014年にDP-ダイバーシティ推進室を立ち上げたとき、私たちは女性活躍推進と障がい者雇用拡大に力を入れました。まずは目に見える変化を起こしたかったからです。
その結果、障がい者社員は確実に増えましたし、女性社員もはっきりと活躍の度合いが増しました。そして、彼・彼女たちに合わせた職場のカイゼンが進んできました。ある工場の現場では、女性社員に合わせて、作業台の高さが変わったり、またある部署では、現在地を示した可愛い標識が、ヨーロッパの街並みのようにあちこちに立ったりしています。障がい者社員の働きやすさも、さまざまに考えられてきました。おかげさまで、女性活躍推進・障がい者雇用拡大は着実に前進してきました。

一方、この間並行して人事部門を中心に取り組んできたのは、女性や障がい者に限らず、誰もが働きやすい環境づくりです。「社会の公器」として社会に共感される会社づくりを目指し、人材の多様化を推進する制度・施策展開を行ってきました。しかしながら、現場ではダイバーシティ推進=女性活躍という印象が強く、本来の意味でのダイバーシティの考え方がなかなか浸透しないと感じていました。さまざまな個性を持つ社員一人ひとりが自らの可能性を信じ、持てる能力を存分に発揮できる会社をつくっていくことを、ダイバーシティ推進の新たな目標に据えたのです。今回のフォーラムも、「社員が幸せ」でなければ、結果として会社も成長しないということを伝えるイベントにすると決めました。

コンサルタントの声

圧倒的規模のイベントを行うという意思決定の素晴らしさ
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタント 山本りえ

今回のダイバーシティフォーラムは、全4回で総勢1600名が参加し、約90のグループを形成してディスカッションを行いました。このような圧倒的規模のイベントを行うというデンソー様の意思決定の素晴らしさを何よりも感じたプロジェクトでした。本気でダイバーシティに取り組むのだという決意が、強く伝わってきました。その決意は、フォーラム冒頭の有馬浩二社長や下方常務のメッセージからも感じましたし、部長・室長の皆さんに主体的に考えてほしいという思いから用意したグループワークにも表れていました。

私たちは、皆さんの思いを受けながら、ダイバーシティ方針やフォーラムのプログラム・ワーク設計のお手伝いをしていきました。私はファシリテーターとしても登壇しましたが、この規模のグループワークであっても、誰もが対話を大事にしながら実スピーディーに意見を出し合い、まとめていかれるので、幹部の皆さんのリーダーシップと能力の高さに毎回驚いていました。また、あらためてデンソーの幹部の皆さんが一致団結して取り組むことでダイバーシティがより推進されることを確信しました。

検討プロセス・実行施策

全役員と2回ずつ対話して内容を検討

全社の部長・室長クラスを集めるイベントなど、もちろん滅多にありません。忙しい部長・室長クラスを3時間も拘束するのですから、それだけ充実した内容にしなくてはなりません。
そこでリクルートの力を借りることにしました。なぜなら、デンソーのこと、トヨタグループのことをよくご存じだからです。リクルートなら、一般的なダイバーシティではなく、デンソーならではのダイバーシティを部長・室長クラスと共有するためにはどうしたらよいかを、一緒に考えてもらえると思ったのです。

私たちはまず全役員と今後のデンソーの人や組織のあり方や、デンソーにとってのダイバーシティの必要性について、2回ずつ対話を行いました。その結果、グローバルサプライヤーとして極めて多様なお客様や製品を持つデンソーが、今後も社会の期待に応えていくために、世界約15万人の社員が協働していくこと、それがわれわれにとっての「ダイバーシティの必要性」であり、これをあらためて幹部社員と共有していく必要があるという結論に達しました。
また、各部署の状況や要望をヒアリングすることを通じて、事業グループ・センターごとに事業環境や課題が大きく異なることも再確認しました。

最後には立ち上がって議論するグループがいくつも

2016年10月17〜19日、私たちはダイバーシティフォーラムを開催しました。トップメッセージ、DP-ダイバーシティ推進室のメッセージを経て、ほとんどの時間を部長・室長クラスの皆さんに、未来のデンソーを一緒に創る仲間として本音で議論し、人や組織について問題意識を共有してもらう場にしました。ダイバーシティの正解は1つではありません。幹部社員に自分事としてデンソーのダイバーシティの考え方を理解・共感してもらうことで、多様な社員、状況の異なる各組織に応じたダイバーシティが進んでいくと考えたからです。

とはいえ実施前は、これほど多くの部長・室長クラスを集めて、本当に対話が成り立つのだろうかという強い不安がありました。そのため、何をどのように伝え、考えてもらうと自分事として参加してもらえるか、緻密に考え準備をしました。
しかし、私の心配をよそに、本番当日のグループワーク、グループダイアログは大変盛り上がりました。全員がそれぞれ付箋にコメントを書いて、模造紙に貼っていくうちに会場全体が白熱していき、終わる頃には立ち上がって議論するグループがいくつもありました。部長・室長クラスの皆さんに、これほど本気になってダイバーシティについて語り合ってもらえるとは思いませんでした。嬉しい驚きでした。

振り返ってみると、この盛り上がりには2つの理由があると思います。1つは、リクルート講師のファシリテーションが上手だったこと。デンソー社員には論理的に考えるタイプが多いことを講師が熟知しており、筋道を立てて考えられるようにテンポよくリードしてくれたのが、とても良かったと感じています。もう1つは、私たちが思っていた以上に、部長・室長クラスがダイバーシティに関する悩みを抱えていたということ。彼らの切実さが対話を熱くしたのです。

成果・今後の取り組み

45%が「腹落ち感が得られた」と回答

終了後のアンケートでは、ダイバーシティの意義を理解し、腹落ちしたかという項目に対し、「推進の意義を理解した」(53%)と「腹落ち感が得られ、自組織のマネジメントや事業戦略に活かしたいと感じた」(45%)を合わせて98%の方が意義を理解したと回答しました。過去2回のフォーラムよりも、腹落ちした方の割合は上がりました。
また、ダイバーシティ推進を通じてデンソーが目指す姿は理解できたかという項目に対しては、「自分の言葉でダイバーシティを話せる」という回答が全体の3分の1以上を占めていました。どちらの数字にも満足しています。「この時間は何だったのだ」というような回答は1つもありませんでした。

また、終了後に、いくつかの感想メールを直接いただきました。例えば、ある室長はこのようなことを書いていました。「最初は、われわれを集めて3時間も何をするのかと思いましたが、有意義な時間でした。グループの皆のさまざまな悩みがよく分かったし、最終的には、ダイバーシティ推進はマネジメントに必須なのだとグループ全員が認識しました。今後もこうしたイベントをぜひ続けてください」。ダイバーシティを推進する立場として、心強いメッセージでした。

集大成ではなくて1つの「変化点」

今後、部長・室長クラスの皆さんには、それぞれの部や室でダイバーシティ施策を主体的に考え、実行してもらいたいと思っています。私たちは、そのサポートにどんどん入っていきます。その意味で、このフォーラムは集大成などではなく、1つの「変化点」にすぎないと捉えています。

私たちは現在、グローバル・ダイバーシティ・コミッティーを立ち上げています。デンソーは日本では4万人近く、グローバルでは約15万人の社員を抱える企業です。当然、日本だけでなく海外のダイバーシティも考えなくてはなりません。お国柄や経済状況などの違いから、各国の社会的要請はまったく違います。例えば、メキシコなどでは企業が託児所を持つのが当たり前になっています。人によっては、こうした海外拠点のダイバーシティを意識する必要もあります。職場によって、本当に事情が異なるのです。だからこそ、現場を知る部長・室長クラスに、主体的に施策を考えてもらいたいと考えています。
また、私たちは、部長・室長クラスだけでなく、全社員に向けても「ダイバーシティは一人ひとりが考えるものだ」という考えを打ち出すことを予定しており、今回のフォーラムの内容をグループ各社や海外事業所などへ展開することも始めています。

繰り返しになりますが、ダイバーシティの正解は1つではありません。だからこそ、考え続けることが大切です。私も、部長・室長クラスも、社員一人ひとりも――全員で考え続けていくことが、デンソーのダイバーシティを推進していく原動力になるのだと感じています。ダイバーシティ推進室は、今後もそのためのサポートに力を尽くしていきます。

参加者の声

部下たちの考えを尊重し任せることで、新たな価値が生まれる可能性を実感した
株式会社デンソー クーリング事業部 クーリング企画室長 川島俊哉 様

私は今、100名近くの社員をマネジメントしています。彼・彼女らのキャリアは多種多様で、キャリア採用者も女性社員も多く、総合職・実務職・派遣社員が一緒に働いています。当然、ダイバーシティに関する悩みは自分なりにいろいろと抱えていましたが、部下にはそうしたことを話すことはできませんでした。

ですから、このフォーラムでほかの室長たちと対話し、部下に聞かせられない悩みを同じ目線で共有できたのは非常に良い機会でしたし、いくつもの気づきがありました。例えば、ある方は自分のサポートが部下のモチベーション向上につながらないときがあり、ちぐはぐ感があると語っていましたが、私にもまったく同じ悩みがあり、深く共感し合いました。こうした対話を経て、一人ひとりの価値観を深く理解し、個性を活かしていくのがダイバーシティの本質だとあらためて気づけたのは特に大きなことでした。

フォーラムの直後に、試される機会がやってきました。部下たちの1チームが、職場改善提案の部門代表として選ばれたのです。彼らは芝居の掛け合いのようなプレゼンテーションをしていたのですが、これは今までの慣例ではありえないことでした。しかし、私は彼らに「自由にやりなさい。怒られたときは責任を取るから」と伝えました。結果、彼らは専務と常務役員の前で掛け合いをやりきり、金賞を獲得したのです。彼らは褒められ、自分も少し変われたように思います。本当に嬉しい出来事でした。

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