海外新興国での修羅場体験で若手社員の「覚悟」と「不足感」を育む

プロジェクト概要

背景・課題

世界トップクラスの変速機メーカージヤトコは、2005年に海外生産をスタートしてから、急速にグローバル展開を推進。グローバルな職場環境にいち早く順応してもらうため、海外で働く覚悟と自信、そして不足感を得る機会を新人に提供したいと考えていました。

検討プロセス・実行施策

単なる視察旅行にならぬよう実践的で効果の高い研修を選定。未知の国で与えられたミッションをやり遂げる「ミッションコンプリート」の実施を決め、各受講者に実際の業務出張と同様の手続きを踏ませました。

成果・今後の取り組み

研修後の振り返りの結果、「最後まであきらめず、仕事をやり抜く姿勢が見えるようになった」など、前向きな変化が起こっていることが分かりました。海外への抵抗をなくすだけでなく日常業務にも好影響を与えています。

背景・課題

10年足らずで海外生産比率が0から50%へ

当社はオートマチックトランスミッション(自動変速機:AT/CVT)の専門メーカーです。ベルト式CVT(無段変速機)の生産では世界シェア49%を占め、日産、三菱、スズキなどの国内メーカーをはじめ、ルノー、GMなど世界の自動車メーカーに製品を供給しています。海外生産を本格的にスタートさせたのは2005年ですが、現在すでに国内・海外の生産比率は50:50。急ピッチでグローバル化を進めてきました。

10年足らずの間に社内環境は大きく変わりました。極端な言い方をすれば、当社には国内業務・海外業務というくくりはありません。英語での会議や資料作成の導入を検討する間もなく、「英語でやるのが当たり前」になるというスピード感です。そのため、新人たちにもいち早く「グローバルジヤトコ」の一員として働いていくための「覚悟」と「自信」、そして「足りないもの」を見つけてもらいたいと会社は期待しています。

以前、当社のトップから「海外工場で実習できないか」という要望がありました。せっかく海外に出すわけですから、実務の延長であることが望ましいという考えがあってのことです。しかしながら、一時的とはいえ海外で働くとなると、ビザなどの関係で実施が難しかったため、工場見学以外でできる「体験型研修」を検討することにしました。(遠藤様)

「本州から出たことがない」という受講者も

会社説明会でも海外の事業を紹介していますし、グローバル志向の人材を求めているというメッセージを前面に出していることもあって、2015年度の内定者を見てみると、事務系の社員はもちろん技術系の社員も、世界で働く意欲をもって入社してくる人が増えてきました。一方で、海外での体験型研修に参加した2012年度の新卒社員には「本州から出たことがない」という人もいましたし、研修のために新規でパスポートを申請した社員も少なくありません。海外研修の受講者は新卒2年目の社員全員。当初、新卒1年目を対象に企画していたのに、最終的に対象を2年目に設定したのは、基本的な業務知識や、社会人の基礎を身につけてからの方が収穫も多いだろうという判断があってのことです。

私は人事担当として、海外研修の組み立てや内容の精査、受講者のフォローをしつつ、入社2年目の社員として研修を受講する立場でもありました。開催国がベトナムに決まったときは、どんな国なのか、どんな体験を得られるのかとワクワクしましたね。(李様)

ソリューションプランナーの声

感動に震えるような「気付きの場」をお客様と二人三脚で、楽しみながら作りたい
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当ソリューションプランナー

「本当に価値があるものを世の中に提供していきたい」というのが、常日頃私が考えていることです。研修というカタチがないものに、実施前から価値を感じていただくことは、簡単ではないと思っています。だからこそ徹底的に「効果」にこだわりたいのです。

正直に言えば、私自身が研修というものに懐疑的だった時期もありました。しかしながら、ある研修を受講して、目指す姿や、そのためにやるべきことに気がつき、研修後も実際に仕事に対する姿勢や周囲への働きかけを変えることができたという経験をしています。それ以降、自分と同じように、「研修を受けて元気になる人を増やしたい」という想いに突き動かされ、受講者のみなさんが感動に震えるような「気づきの場」を作ることに全力を注いでいます。

ジヤトコ様から海外研修についてのご相談をいただいたときも、ぜひお手伝いしたいと思いましたし、遠藤様、李様と研修の内容を詰めていくプロセスはとても楽しいものでした。研修最終日の記念写真には、海外研修に参加したみなさんのキラキラした笑顔が収められています。ジヤトコ様に限らず、「またあのときのようなワクワクする仕事をしたいですね」と担当者の方としみじみと語れるような、そんな仕事を今後もしていきたいです。

検討プロセス・実行施策

ホーチミンで明かされた研修ミッション

私を含め新卒2年目の社員が取り組んだのは、「ミッションコンプリート」という研修です。内容は多くの受講者にとって未知の国であり、言葉も通じない環境で、文字通り「ミッションコンプリート」するというもの。裸の自分で課題に挑戦してほしいという思いもあり、ミッションは現地に着くまで明かされず、私を除く受講者は当日まで、「海外で修羅場を体験するらしい」ということくらいしか知りませんでした。

研修の5日間を掛けてクリアしなければいけないファイナルミッションに加えて、日々のデイリーミッションのクリアというのが研修の大きな流れです。2013年に実施したときは、「ベトナム人をキャスティングして、ベトナム人に対して自社をPRするCMを作る」ことがファイナルミッションに設定されました。数人のチーム単位でミッションクリアを目指すのですが、当然ながらクリアするためのマニュアルはありません。自分たちで知恵を絞って壁を乗り越えていきます。日本語を話せるベトナム人を見つけてミッションを手伝ってもらうチームがあれば、手当たり次第に街行く人に声をかけるチームもあるなど、チームごとに個性があって非常に興味深かったですね。(李様)

視察旅行にならぬよう「効果性」を重視

受講者たちは慣れない環境で慣れないことをするので、事務局としてはリスクヘッジを十分に検討しました。実際に、研修中に所持品をなくしたり、体調を崩してしまう受講者もいましたが、事前にあらゆる事態を想定していたため、トラブルが起こっても冷静に対処できたのは幸いでした。

すべてがお膳立てされている研修ではなく、業務の延長にある「海外出張」の位置づけで行うことで副次的な効果を得ることができた、というのも今回の収穫でした。受講者は自分たちで出張申請して承認を得る海外出張と全く同じプロセスを踏み、帰国後は上司へ報告。新卒2年目の社員たちも、いずれグローバルに働くことが当たり前になるわけですから、その予行演習としても機能させることができたのです。

帰国した受講者があまりに楽しそうに報告するので、「修羅場研修と聞いていたが、本当は遊びに行っていたんじゃないか」といぶかしげに話す上司もいました。本人たちは現地で本当に大変な思いをしたからこそ、その先にある達成感に喜びを覚えているのですが……。考えようによっては、上司に誤解されてしまうほど、受講者にとって実りの多い研修だったといえるのではないでしょうか。(遠藤様)

成果・今後の取り組み

ファイナルミッション評価は、ジヤトコ社員とベトナム人で真逆

ミッションコンプリートで一番印象的だった場面は、最終日のファイナルミッション評価会です。受講者と現地のベトナム人の2段階で評価を行うのですが、なんと受講者内で最高評価だったものが、現地人評価では最低になってしまったのです。受講者評価でトップだったのは、ベトナム語で変速機についてアピールするCM。私もそのチームに所属し、一緒に作品を作りました。受講者の間では、「ベトナム語でアピールできるなんてすごい!」と感心されていたものが、現地の人には「何を言っているのかさっぱり分からない」という評価だったのですね。自分たちの価値基準でいいものを作るために頑張ったのですが、「それを見る現地の人の視点」が抜けていたことに気付かされました。

受講者の一人として自分自身の変化も感じています。今は人事採用担当として大きな仕事に取り組ませてもらっていますが、以前はプレッシャーでしかなかったことも、周りを巻き込んで、やり遂げることができると思えるようになりました。すべてが研修のおかげとはいえませんが、ベトナムでの5日間で私の意識と行動が変わったのは事実です。(李様)

たくましくなって帰ってきた2年目社員たち

研修3カ月後の振り返りで、「グローバルジヤトコ」の一員として働く覚悟と自信、グローバルに働く上での不足感を持ち帰る、という期待通りの成果が出ていると分かりました。アンケートでは上司の4分の3が研修後、部下の意識が変わったと答えています。他にも、「最後までやり抜く姿勢が見えるようになった」「先輩に積極的に質問するようになった」「常に最高のパフォーマンスを発揮しようとしている」など、部下の変化を感じているようです。

2005年から一気にグローバル化を進めてきた当社には、「グローバルな仕事」しかありません。受講者たちは日常業務を通じて、グローバル人材に育っていってくれるでしょう。よりダイレクトに業務につなげていくために、次回以降のミッションコンプリートでは、研修内容に「ジヤトコ」のアイデンティティを織り込みながら、唯一無二のプログラムへとブラッシュアップしていけたらいいですね。(遠藤様)

受講者の声

「自分のやり方で大丈夫、できる!」と思えるようになりました
ジヤトコ株式会社 お客さま品質保証部 張 翠 様

私は最初、海外研修を旅行のような感じで捉えていました。ですから初日にミッションを聞いたときは、「できるかな…」と不安でした。でもチームメンバーはかなり前向きで、夜遅くまで次の日の作戦を話し合うほどだったので、私も頑張ることができたのです。忙しいはずの飲食店の店員さんが、私たちに何時間もベトナム語を教えてくれるなど、現地の人の温かさに触れることも多かったですね。

研修は5日間という短い期間でしたが、与えられた影響力はとても大きかったです。私がこの研修で得たものは「自信」です。日本に来て6年、「郷に入っては郷に従え」ということわざを聞き、「誰かの後についていく」「会議では聞かれるまで発言しない」ということが染み付いていました。しかし研修では受講者全員同じ条件で、これまでのように先導してくれる人もいませんし、チームごとに進め方が全然違うので、「それぞれのやり方でいいんだ」と思えるようになりました。
研修後の日常業務でも、社内のいろいろな部署と関わりますし、自動車メーカーとのやり取りも頻繁に行われていますが、何があっても今は「大丈夫、できる」と自信をもって取り組むことができます。

「あきらめずにやればできる」、研修を経て粘り強くなりました
ジヤトコ株式会社 FR/AT工場技術課 松岡 知己 様

研修初日、自己紹介を現地語でしてくれと言われたときはびっくりしました。ほとんど体当たり状態で現地の人に話しかけて、自己紹介の仕方を教えてもらったことで、自分の心のなかに大きな変化があったように思います。以降、人をつかまえて何かを教わることに対する恐怖感が薄れました。

帰国後も研修の影響は続いています。例えば、以前は取引先に何回か電話して断られたときはあきらめていました。でも今は、断られたあとも10回ぐらい粘って、なんとか応じてもらうなど、やり遂げる姿勢が身についてきたように思います。日本人は基本的に遠慮がちですが、この研修を経験して、私はいい意味でワガママになれたのかなと感じています。間違いなく海外研修は、成長の糧になってくれましたね。

研修で学んだ「相手の視点に立つこと」の大切さ
ジヤトコ株式会社 調達部 渡辺 成美 様

研修の課題をクリアするために、現地の日本企業に突撃訪問を試みるなど、日本にいたら絶対にできないことも、頼る人のいない海外で追い込まれているときならできる、というのは自分のなかでの発見でした。他にも、現地の知らない方に翻訳をお願いするなど、いい意味で図々しくなれたと思います。

一方で、相手の立場に立って、物事を考えられるようになったのも、この研修がきっかけといえるかもしれません。私が所属する部署は、他部署との調整が頻繁にありますし、取引先とコンタクトをとることも多いです。そうしたやり取りのなかで、「これって本当に相手に真意が伝わっているのかな」とか「私が作ったこの資料、見やすいかな」とか、「そもそも依頼者が求めていることって、これでいいのかな」などと、自然に考えられるようになりました。今後、よりグローバルに働くことになっても、研修で身につけた相手を思う姿勢が、円滑なコミュニケーションの助けになってくれるのではないかな、と思います。

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