新入社員を5年で校舎長へ 教育投資が“採用増・離職ゼロ”につながる

プロジェクト概要

背景・課題

2006年12月に産声をあげた河合塾マナビス。河合塾グループの支援により資金と学習コンテンツは揃っていたものの、それらを動かす「ヒト」が経営課題。校舎の増加に対して、ビジネスマインドを持つ校舎長が不足していました。

検討プロセス・実行施策

校舎長を対象に「マネジメントの原理原則」を学ぶ研修を実施。2010年度からは「新卒5年目の校舎長をつくる」というプロジェクトがスタート。研修は受講者一人ひとりに配慮した年間計画をベースに実施しています。

成果・今後の取り組み

新卒4年目までに校舎長になる社員が現れるなど施策の成果は上々。部下を育てる文化も醸成され離職者も半減。さらに人材育成への注力度合いを対外的にアピールした結果、求人応募が増えるなど採用活動にも好影響を与えています。

背景・課題

塾を差別化するのは「人」である

当社は、高校生の大学現役合格を支援する進学塾です。「ひとつ上の現役合格」を理念に掲げ、河合塾が長年にわたり築き上げてきた大学受験指導のノウハウを、現代の高校生の学習スタイルに合わせて提供しています。具体的には、ビデオ・オン・デマンドの映像授業と、生徒一人ひとりに合わせた個別サポートを強みとして、生徒数と校舎数を伸ばし続けています。

私は以前、全く違う業界におり、当社の設立メンバーとして転職してきましたが、就任前から、この業界で勝敗を分けるのは「人」であろうと考えていました。もちろん、学習コンテンツや情報、ノウハウは重要ですが、河合塾にはすでにそれらが充実していました。これらが揃った上で、誰がどのようにその価値を届けるのかが、塾を差別化するのではないか。つまりそこで働く人が重要であり、当社においては、会社として最も注力すべきポイントだと考えていました。

会社設立からの数年は採用と教育に追われる毎日でした。忙しい毎日のなかで特に痛感したのは、いわゆる「塾屋マインド」を持った社員の多さです。つまり、業界経験が長い彼・彼女らは、生徒に教えることには非常に長けているものの、どこか職人的で、ビジネスマインドが足りない。そのため校舎長になっても、アカウンティングやマーケティングなどの一般的なビジネスの知識・スキルがないので校舎運営に苦労し、また、マネジメントの概念がないので部下育成に苦労するなど、なかなかうまくいきませんでした。

しかしこれは当然のことなのです。なぜならば、この業界の競争が激化したのは、少子化問題が進んだここ10年程であるため、これまで「社員を育成する」という発想は業界にありませんでした。そのため、入社してくるほとんどの社員が育成されてきた経験に乏しいですし、会社としても機会を十分に準備できていませんでした。そこで、「これはなんとかせにゃいかん」と早くから教育体系の整備に着手することにしたのです。(岩田様)

決定的に欠けている「共通言語」と「原理原則」

今でこそ新卒プロパーの校舎長が出てきましたが、設立当初はさまざまなバックグラウンドを持った中途入社の社員が校舎長を務めていました。例えば、校舎長が集まって会議を行う際、現在の仕事の状況を尋ねると、「うまくいっています」とか「今一つです」とか抽象的な返事をするのです。これでは、それぞれの校舎でどんなことが起こっているのか、本人以外には分かりません。それに加えて、会社に共通言語がないので、こちらも会話を深めることができないのです。(写真右:谷口様)

さらに言うと、「校舎長が部下を育成する」という共通認識を作り出せていない状態でしたので、自己成長を実感できない社員の離職が続いていました。この課題を解決するためには、まず仕事の目線合わせに欠かせない「共通言語」と、部下育成を含めた「マネジメントの基本」を知ってもらうことが重要だと考えました。そこで比較検討の上、リクルートの研修を導入しました。校舎を増やすためには、その校舎を任せられる人材が欠かせません。会社の成長ペースに合わせるには、5年で校舎長を育成する必要がありました。そこで、会社としても腹を決めて、2010年度からはさまざまな研修を組み合わせて行う「新卒入社5年以内で校舎長を育成する」というプロジェクトをスタートさせたのです。(写真左:渡邊様)

ソリューションプランナーの声

答えは「お客さまの中」にある
二人三脚で「ヒト」の課題に取り組んでいます

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
担当ソリューションプランナー


河合塾マナビス様は、代表の岩田様が常々「人材育成が大切である」とおっしゃっています。人材開発部の渡邊様、谷口様も並々ならぬ情熱を持って、日々教育と向き合っていらっしゃいます。
これは河合塾マナビス様に限らない話なのですが、人材育成における課題はお客様自身が一番深く理解されているはずです。その状況で私に何ができるのかというと、それは、お客様の想いに寄り添いながら、課題を一緒に言語化し、論点をシャープにしていくことです。自分の机に向かい、長い時間をかけて提案書をつくるよりも、私はその時間をお客様と会うことに費やしたい。お客様と二人三脚で、課題と向き合っていきたいのです。

河合塾マナビス様は、毎年のように新しい課題に取り組み、進化し続けています。いつでもご要望に応えられるように、私も自己研鑽を続けていかねばと、気を引き締めています。

検討プロセス・実行施策

教育投資に上限はない

設立間もないころから、リクルートには通常の研修だけではなく、教育体系全体のコーディネーターとしてプロジェクトに参加してもらいました。幅広いプログラムを持ち、その上で教育体系の構築支援までできるパートナーは少ないですし、厳しい訓練を経たプロ揃いという印象があり信頼していたからです。

私は人材育成ほどローリスク・ハイリターンの投資はないと思っているので、これまで良いと感じた研修はどんどん取り入れてきました。極端な言い方をすれば、教育予算に上限はありません。現在、当社の一人当たりに投資する教育費は、日本の企業のトップ100に入るのではないかと思っているほどです。

かつて塾業界には「部下は上司の背中を見て育つもの」という考え方が根付いていました。ですから、当社においても人事が「研修をやるぞ」と言ってもなかなか理解されず、なかには「研修を受けるから、その分の参加手当てを出してほしい」なんていう社員もいたくらいです。しかし、教育の重要性を繰り返し説くことで、会社の空気は随分と変わったと思います。(岩田様)

年間計画で受講者の意欲を高める

ただでさえ忙しい社員に、いかにして研修を受講してもらうか。以前はこれが大きな課題でした。いくら教育研修制度が充実していても、受講者本人に意欲的に学ぶ姿勢がなければ、やる意味が薄れてしまいます。私はこの課題の答えの一つは「トップの姿勢」だと考えています。トップが教育に対してどれほどの情熱を持っているのかが、社員教育における成否の分かれ道になるのではないでしょうか。そうした前提がある上で、「どのタイミングでどんな研修を行えば受講者の負担感を減らせるのか」を考えることが重要だと思います。(写真:渡邊様)

研修のスケジュールは、現場としっかりコミュニケーションをとって作り込んでいきます。受講者の予定を1年52週、全てチェックした上で、研修を行える週、そうでない週を選んでいくのです。繁忙期は業務に集中してもらい、「この日は午前中だけ研修を受けられる」と分かれば、半日で終わる研修を当てはめていくといった具合です。直営校舎が40近くまで増えた今、この作業は正直骨が折れます。スケジュール作成は、まるでパズルを組み合わせていくような感覚ですね。ただ、ここまで行ってでも、実施する研修の効果を高めたいのです。(谷口様)

トレーナーの声

学習意欲の高い、教育のプロである受講者たち
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当トレーナー


河合塾マナビス様は、私にとって、楽しくも緊張感が高い企業の一つです。なぜならば、受講者の皆さんが教育のプロであり、成長意欲も高いので、曖昧な部分にはすかさず質問が飛んでくるからです。そのためトレーナーの研修運営にかける姿勢と力量が、常に問われていると、身が引き締まる思いです。
研修では単に理論学習に終わらぬよう、校舎運営の現場を意識し、実際の現場で起こる事実を場に出すことを意識しています。数年研修を担当させていただき、「以前こんな話があったがどうか」「校舎の実態ではそれで大丈夫か」など、生々しい議論が受講者の学習を進めることにつながっているのだと感じています。
また、河合塾マナビス様のすごいところは、年間多くの研修を実施されているにも関わらず、毎回必ず研修に岩田社長がいらっしゃることです。社長から直接「しっかり学べよ!」といっていただけるので、受講者も私も気合いが入ります。

成果・今後の取り組み

「人を育てられる人」を育てたい

おかげさまでここ最近、当社は教育に熱心な会社として認知されつつありますし、これから入社する人たちからも、人材育成に対して大いに期待してもらえているようです。私たちはこれからも人材への投資を惜しむつもりはありません。しかしながら、そろそろやり方を精査する段階に移ってきたのかな、と感じています。

私たちは何も「金太郎飴のような社員」を量産したいのではありません。「出る杭を伸ばす」もしくは「出ようとする杭を引っ張りあげる」というようなことをしたい。例えば、膝詰談判で校舎長と経営陣が予算交渉するなど、社員が「意志」を育むように仕向けたいのです。社員育成の場はなにも研修だけに限ったものではありません。研修はあくまでワンオブゼム。全ての場が教育に通じるという信念のもと、多面的に社員を刺激し、意志を持った「人を育てられる人」を育てていきたいと考えています。(岩田様)

新卒離職者ゼロという劇的変化

「新卒5年目の校舎長をつくる」というプロジェクトはまだ今年で5年目ですが、すでに数名の校舎長を生み出しています。「背中を見て覚える」という文化を脱却し、「部下を育てる」ことが重要であるという意識も芽生えてきました。実は、2012年度は新卒社員の離職率が深刻な問題だったのですが、2013年度はなんと離職者ゼロ。校舎長に部下を育てる意識が生まれただけでこうも変わるのか、と正直驚きましたね。人材育成への姿勢を積極的に広報するようになってからは、新卒・中途採用ともに応募者が増えるという嬉しい変化もありました。(渡邊様)

社員の離職問題の観点では、教育体系と合わせて「斜め上のつながり」を作ったことも大きかったと思います。各地域ブロックの校舎長とその部下が集まる会議で、部下が「隣の校舎長」と交流を持てるようにしたのです。彼・彼女らにとって隣の校舎長はロールモデルになるような人物。相談相手としても、ちょうどいい距離感であるわけです。

毎年のように変わる経営課題にどう対処していくのか、というのが教育研修を組み立てる際に重要なことだと思います。階層別研修のように「原理原則」や「共通言語」を身につける「幹」の部分は大きく変えられませんが、教育体系は中長期展望に基づき、スクラップ・アンド・ビルドしていくべきもの。絶えず見直しを続ける中で、「人を育てられる人が育つ風土」を作っていきたいですね。(写真:谷口様)

受講者の声

経験則に頼っていたマネジメントを「言語化」できました
株式会社河合塾マナビス 直営運営部 船橋校 校舎長 増田 貴之様


前職からマネジメントに取り組む立場でしたが、以前は経験則に頼ってばかりでした。問題が起きたときに、対処療法的に部下に指示を出すような感じで、うまくいくこともあれば、ダメなときもある。課題を根本から直すことができず、トライ&エラーを繰り返していました。そんなやり方でしたから、ときには部下の表情に疲労の色が見えて、申し訳ない気持ちで一杯になることもありました。

マネジメントを言語化できるようになったのは、当社に転職し、校舎長になるタイミングでマネジメント研修を受講してからです。普遍的なマネジメントの原理原則を学ぶことができ、実践計画を立てられるようになったのは大きな変化ですね。異業種参加型の研修だったため、メーカーや商社など他業種のマネージャーとして活躍するみなさんと、グループワークで協業できたこともいい経験になりました。さまざまな「生きたビジネス」に触れることで、考え方の引き出しを増やすことができたからです。

理論や理屈を覚えて終わりでなく、「実践」を重視する研修のおかげで、自分のすべきことを腹に落とすことができました。継続的に行動を変える「気づき」を得られたことは、私の「これから」に大きな影響を与えてくれそうです。

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