「感覚だのみ」から「科学的アプローチ」で展示会の売上が3倍に

プロジェクト概要

背景・課題

2011年にディッキーズの日本法人が誕生。設立前の日本においては、ほぼメンズのボトムスのみ50種類ほどだった商品数が、フルラインで展開により1000種類以上にも拡大。営業のありかたそのものを見直す必要がありました。

検討プロセス・実行施策

営業プロセスを標準化・可視化をするために、具体的な行動やセリフまで落とし込んだセールスハンドブックを7カ月かけて作成。内容のテストを行ったり、プロセス目標を評価に反映したりと、「使わざるを得ない状況」も意図的に作りました。

成果・今後の取り組み

展示会で紹介している新規商品の売上が、前年対比300%を超える成果をあげることができました。しかしこれだけに満足せず、今後はさらに北アジア地域でのブランド認知を高め、ユーザーのすそ野を広げていきたいと思います。

背景・課題

日本法人スタート時の3つの課題

1922年にアメリカ・テキサス州で創業し、ワークウェアブランドとして親しまれてきたディッキーズ。今では、ファッション性と機能性を兼ね備えたワークカジュアルブランドとして、世界の若者に支持されるブランドになりました。日常着としてはもちろん、スケートボードや音楽など、さまざまなカルチャーシーンとの結びつきも強いという特徴も持っています。しかしながら、つい数年前までの日本におけるディッキーズ製品は、並行輸入品をのぞくとほぼメンズのボトムスのみでした。日本や中国など、北アジア地域におけるグローバル戦略推進には、メンズ・レディス・雑貨を含めたトータルブランドとしての企画・販売が欠かせないということで、2011年にディッキーズの日本法人であるWilliamson-Dickie Japanが誕生したのです。

日本では卸売ビジネスが主体となるので、ボトムス販売の経験者を集めてビジネスをスタートさせましたが、その直後に3つの課題が見えてきました。一つは、それぞれ経験があるとはいえ、営業スタッフのスキルにバラつきがあること。次に、会社立ち上げ間もないため、各営業スタッフが持つノウハウを共有する習慣や仕組みが確立されていないこと。そして、日本法人設立以前は、1年間で扱うアパレルの新商品は50種類ほどでしたが、メンズ・レディースの上下に雑貨を含めたフルラインで展開すると、商品数は実に1000種類以上にも拡大すること。つまり、営業のありかたそのものを見直す必要もあったのです。

新しい営業手法の開発と、その共有をどのようにしていくのか。私たちが取り組んだのは、営業プロセスの標準化と可視化です。これを実現すれば、例えば「アプローチ開始が遅く、目標とするクライアントの予算を押さえられなかった」など、営業活動における致命的なミスを減らすことができます。これまで個々の営業スタッフが経験と感覚でやってきたことを徹底的に科学し、ナレッジを蓄積して、誰でも使えるようにしていくこと。それこそがセールス部門全体を強くすると考えました。善は急げということで、営業力強化というテーマにおいて実績があるリクルートに声をかけて、営業プロセスの標準化・可視化プロジェクトを開始。実績のある商品・サービスをひな形にして、運用しながら当社独自のものにブラッシュアップさせていくことにしました。

ソリューションプランナーの声

提案の根っこにあるのは「事業発展のために力添えしたい」という想いです
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
担当ソリューションプランナー


営業活動における「戦略立案」の内容と、「受注・失注」という結果は管理しても、その進捗までしっかりと把握している企業は多くはありません。失点の少ない営業をしたいと考えるのならば、戦略と結果を結ぶプロセスの部分こそが肝となります。そうした前提にもとづき、ディッキーズ様が目指す「セールス強化」を実現させるため、私たちは営業におけるプロセスマネジメントのかたちを二人三脚で作ってきました。

ディッキーズ様は少数精鋭でビジネス展開しているので、営業スタッフ一人ひとりの変化が、会社の成長とダイレクトに結びつきます。実際、研修の成果もあり、営業活動の核である展示会での受注が数倍に伸びました。社外の人間でありながら、それを祝う場にご招待いただいたときは、本当に、本当に幸せでした。今後もソリューションプランナーという立場から、営業スタッフのみなさんが持つ本来の力を引き出し、組織をより元気にしていくことで、会社の成長に寄り添っていきたいと考えています。

検討プロセス・実行施策

120ページにおよぶ特製セールスハンドブック

営業プロセスの標準化・可視化に取り組むためのウォーミングアップとして、実際に商談の流れを書き出して、営業スタッフ同士でロールプレイングをするなど、基礎を固めるための研修を行いました。土台をしっかり作ってから、ディッキーズにおける営業を科学していくためです。

卸売をしているアパレル企業は、春夏アイテムと秋冬アイテムの展示会を小売店のバイヤーを集めて実施するのが一般的。そのため年2回の展示会が、当社においても営業活動の重要なポイントであり、ここに照準を合わせて戦略を練っていきます。もちろん、このことは営業スタッフも頭では分かっているのですが、「いつまでに何をする」という具体的な行動プランまで落とし込まれてはいませんでした。どの段階の商談で、どんな話をするのが望ましいのかなど、実効性があるナレッジもありません。そのため、当社の営業スタッフが、それぞれの得意分野を持ち寄り、受注につながる考え方や行動を「セールスハンドブック」というカタチにまとめていきました。

こうして、当社における営業プロセスを定義し終えるまでに約7カ月、そこからプロセスごとの商談の進め方や実際の成功/失敗ケースなど、内容を肉付けをする作業に3カ月ほどかけて、120ページにもおよぶセールスハンドブックの第一弾が完成。新人営業でも、それを読めばすぐに行動に移せるようなものでなければ意味がないので、内容の精査にはかなりの時間と労力を要しました。

使わざるを得ない状況を作り出す

どんなに優れたセールスハンドブックでも、利用してもらえなければ宝の持ち腐れ。そうならないように、セールスハンドブックの内容に基づいたテストをワークショップで行い、営業支援システムを導入し、適切なプロセスを営業スタッフが踏んでいるかどうかを相互に共有できる体制を作るようにしました。さらに、その過程で記録される営業活動の中間指標を個人の評価目標とリンクさせ、査定に反映させました。とにかく「使わざるを得ない状況」を意図的に作り出したわけです。

私は何かを始める前から実効性を説いても、あまり意味がないと思っています。基礎となるスキルは筋力トレーニングと同じで、まずやって効果を実感してもらうことが自発性に基づく継続化につながると考えました。その結果、営業スタッフはハンドブックと自分の活動を比較できるようになり、自分に何ができて、何ができていないのか、確認しながら行動するという理想的なサイクルが生まれはじめています。当初の目標だったセールス強化という点でも、展示会で紹介している新規商品の売上が前年対比300%を超えるなど、大きな成果をあげることができました。

成果・今後の取り組み

営業に与えられた3つの役割

セールスハンドブックの中には、ディッキーズの営業のあるべき姿がしっかりと書かれています。まずは、クライアントにとっての課題解決の「コンサルタント」であることです。我々が目指すべきは、ディッキーズの商品をフルラインで店頭に並べてもらうこと。そのためには、店長やバイヤーが考える理想の店舗がどのようなものかを推測し、それを叶えるためのソリューションをブランドを超えて提供する必要があります。ときには、「こんなものがあったら売れるのに」というものを、実際に作ってしまってもいい。「プロデューサー」として、社内外と連携しながら新しい価値を生み出していくことも、当社の営業におけるミッションだからです。そして、ブランドのコンセプトやメッセージを正しく伝えて、ファンを増やしていく「プロモーター」としての役割も、やはり現場にいる営業の役割でしょう。

今後、ディッキーズというブランドの価値をより高め、ユーザーを増やすためには、クライアントとの関係を深化させていく必要があります。ボトム売場から始まり、最近ではディッキーズのコーナーを作ってくださるクライアントも増えてきました。次に見据えるのは、ディッキーズのフルラインを揃えるshop in shopを作ること。そしてオンリーショップを徐々にフランチャイズ展開してトータルブランドとして成長させていくのが、現時点での最終着地点です。
直近の課題は、営業がクライアントである小売店のことをより深く理解していくこと。そのために、上海のディッキーズ直営店に全営業スタッフを向かわせて、中国法人が展開するSPA(speciality store retailer of private label apparel)戦略と店舗運営について勉強してもらったこともあります。ディッキーズだけを取り扱う店舗がどのようなものなのか、実際に目にしてイメージを広げてほしかったからです。

SPAという点ではオンリーショップを50店舗以上展開している中国が先行していますが、日本で企画した製品は中国を含めた北アジア地域全体で販売されています。最近では製品企画に加えて、日本で確立した営業プロセスを中国法人で働く営業スタッフにも展開してもらうことになりました。ディッキーズのアジア地域における発展は、日本法人のこれからにかかっているといっても過言ではありません。営業プロセスの標準化・可視化によって実現した展示会での成功に満足せず、北アジア地域でのブランド認知を高め、ユーザーのすそ野を広げる活動を推進していきたいと考えています。

受講者の声

感覚に頼りすぎない科学的アプローチを心がけています
Williamson-Dickie Japan 合同会社
Sales Account Executive‐Kansai Region 佐々木 教一 様


当社に入社する前、あるブランドでボトムスの営業をしていたころは、商談の進め方や展示会までの動き方などは先輩の背中を見ながら感覚的に学んでいました。ディッキーズに入って営業研修を受けてからは、セールスハンドブックを参考にしながら、成果につながる営業アプローチができるようになってきたと感じています。座学で学んだ内容を理解して終わりではなく、ロールプレイングで商談を実践したり、お互いの営業活動をよりよくするためにはどうしたらいいのかを話し合ったりと、実行に重きをおいた研修内容が印象的でした。おかげで、展示会に向けてのアプローチやセールの商談、提案資料の作り方など、それぞれのフェーズですべきことまで、頭の中に叩き込むことができたのです。

営業の基礎の部分は体得しつつあると感じている今日この頃。昨年対比でいえば売上も継続的に伸びていますが、まだまだ西日本における認知度は高くないと思うので、ディッキーズ専門店のフランチャイズ展開を実現させたいですね。

関連するセミナー

関連する事例

ピックアップ

「事例」の
WEBからのお問い合わせ
お問い合わせフォーム
電話でのお問い合わせ
0120-878-300

受付時間
/ 8:30~18:00 月~金(祝祭日除く)

※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください。

Page Top